もくじ
こんにちは!Toku-Seeです。
今回は赤ちゃんの股関節形成異常症についてのお話です。
だっこ紐やヒップシート,スリングなどいわゆるベビーキャリアを用いることは,赤ちゃんの足や腰に負担がかかってよくない!という話を聞いたことはないでしょうか?
では本当にベビーキャリアの使用が,赤ちゃんの健康な足腰の成長に悪影響が出るのでしょうか?
何となく知っている方も,全然知らない方も、何だか難しそうな話だなと思っている方も大切な赤ちゃんのために,少しの時間ですのでお付き合いください。
この記事の内容は,小児整形外科手術のパイオニアで国際股関節形成異常症研究所のチャールズ・プライス医学博士へのインタビューをもとにしておりますので,専門家の客観的な意見になっております。

股関節形成異常症ってどんな病気?
股関節でつながる足の骨が正しい位置にない状態のことで,股関節脱臼(またかんせつだっきゅう)や先天性股関節脱臼とも言います。いわゆる「関節が外れた」もしくは「関節がずれた」状態のことです。

このことが原因で股関節が適切に機能せず、特に10代になると足や腰に痛みを伴います。さらに,50代以上になって関節炎を引き起こす要因ともなります。
アメリカにある国際股関節形成異常症研究所によれば股関節形成異常症は1000人中2〜3人の赤ちゃんが発症するといいます。日本では毎年約100万人の赤ちゃんが生まれていますので,統計上ではそのうち2000~3000人の赤ちゃんが股関節形成異常症になるということになります。
股関節形成異常症の原因は?
まず知っておいて頂きたいのは,赤ちゃんの6人に1人は股関節が不安定な状態で生まれてくるという事です。これは成長とともに自然と安定していき多くの赤ちゃんでは何も問題になることはありません。
通常,股関節が安定するまでの期間は生後6か月といいますので,その期間に股関節形成異常症にならないように予防すればいいのです。
では股関節形成異常症の原因は一体なんでしょうか?
いくつか知られている原因がありますが,第一に赤ちゃんの足をきつくそろえてしまう間違ったおくるみの使用が良くないとされています。
また太ももに十分な支えがない状態で足がぶら下がる状態も股関節の不安定性を悪化させる要因の一つとされています。しかし,ベビーキャリアの使用と股関節形成異常症との間に明確な因果関係は示されていません。
また,逆子で生まれた赤ちゃんでは発症のリスクが高まったり,女の子は男の子よりも4~5倍程度発症リスクが高いようです。その他,遺伝的な要因もあるようで,ある特定の遺伝子が発症に起因しているというところまでわかっているようですが,その遺伝子をもっているからといって必ず股関節形成異常症になるわけでもないようです。
いずれにしても,予防ができるとすれば足を長時間そろえた状態にしておくことや,太ももに支えがなく足をぶら下げた状態にしておくことを避けることです。
ベビーキャリアの適切な使い方と選び方
生後6か月までの赤ちゃんが股関節形成異常症を発症しない,健康な成長に最も適した姿勢があるとすれば,M字姿勢になります。
英語ではErgonomic-M (エルゴノミックエム)と言います。つまり,赤ちゃんがだっこされた際に足がM字姿勢に保たれていれば負担をかけることのない体勢だという事になります。

ベビーキャリアでのだっこの場合,赤ちゃんんの太ももの位置で支えがなく,足が一直線にだらんとなってしまうだっこ紐は避けるべきです。とにかく,赤ちゃんの足はピンっと伸ばさない!これに尽きるのです。
ただし,それも生後6か月までで,それを過ぎると股関節も安定してきますのでそこまで神経質にならなくても大丈夫です。最近のだっこ紐やヒップシートはそうした点に留意して設計されているので,ほとんどのものは生後6か月以前に使用しても問題ありません。
しかし,先ほども述べましたが,太ももの位置で支えがなく,太ももからだらんと下がってしまうようなだっこ紐は使用を避けてください。
ヒップシートに関しては,赤ちゃんを台座に座らせる姿勢になるので太ももも自然と支えられてこのような危険性はないと思います。
それでも安心のためのお墨付きや認可制度はないの?と思われるかもしれませんので,最後に一つだけお知らせしておきます。
冒頭で出てきた国際股関節形成異常症研究所が認めた「ヒップヘルシー(股関節によい)」というものがあります。下記のマークがついた商品はこの研究所のお墨付きという事になります。日本でよく使われている多くのベビーキャリアはこのマークがついていると思いますよ。
まとめ
股関節形成異常症についてお分かり頂けたでしょうか?
こうしてみるとそれほど怖がることなく,だっこ紐やヒップシートを使ってだっこできると思いませんか?
赤ちゃんのために正しく理解した上で,思いっきりだっこして赤ちゃんがいる生活を楽しんでくださいね。
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